2019年 04月 04日
父の再婚
父は離婚した当初、私には特段変化があったようには見えず、会社から帰宅後、簡単な料理を作りテレビを見ながら食べ寝るといったいつものルーティンだった。
私の平日は勤務先が遠かったため早朝に家を出て平均21時帰宅、休日はできるだけ家に居ないようにしていた。
そのため一緒に住んでいたが、それぞれの部屋で暮らしていたので父と話すこともなかった。
ある時から父が長電話をするようになったと気づく。
当時はうちはまだ家電話(線でつながっている)だった。
私も電話を使いたいし、かかってくる予定の電話もあったりするのに、父が1、2時間独占していることが日々多くなった。
家族とはほとんど会話しなかった父が楽しそうに長電話をし始めた。
付き合っている女性がいると聞き、父が嬉しそうにしている姿はホッとした。
その後、父は家よりも女性のマンションに滞在する日が増えていきほとんど帰宅しなくなっていった。
家に残ったのは私一人だった。
父はその女性と50歳代(父と同年齢)で再婚した。
その女性は芯の強い闊達な感じの、自営業の方だった。
父が興味を惹かれる女性の好みは「強さ」にあるのかなと感慨深い思いをした。
この二人はとても仲良しでいつも一緒に寄り添っていた。
私が知っている父とはまるで別人になったかのような表情豊かな笑顔や女性との態度に驚きだった。
はじめてみる父の姿だった。
母と男性との愚痴ばかりの関係とは真逆の様相だった。
母には父の再婚相手のことは私からは話していなかった。
どこから仕入れてくる情報なのか、父に女性がいると知るようになってからはその女性がどんな人なのかなど、どうにかして私から聞きたがる攻撃が始まった。
そして母は会ったことがないのにも関わらず女性に対して批判、非難、愚痴がいつものように始まる。
母は、娘が父の再婚相手を嫌って当然(どんな人であろうと)という思いがあったのだろう。
娘の口からその女性の悪口を聞きたがった。
あんなに父のことを邪険にし続け最後は不倫で自分が父を裏切り離婚したのに、まるで再婚相手を泥棒猫のように感じる思考は怖かった。
残念ながら母の思惑とは違い、女性は父のことをとても大事に考えてくれているのは明白で、娘からしたら「こんな父ですがよろしくお願いします」と心から思う方だった。
そのため母が聞きたがった悪口は全くないので話すこともなく、どんな人と聞かれれば「いい感じの女性」と私が話すので母はあまり聞かなくなっていった。
父が大切なパートナーと会えたことは心の底から良かったと思ったことは確かだ。
でも父を疎んじている気持ちは変わらなかった。だから話もほとんどしなかった。
披露宴をするので来てくれと父からそれだけ(詳細を知らずに)を聞いて某ホテルに行くと、大勢の人たちをよんでの盛大な披露宴でそれはそれは驚いた。
私は友人たちの結婚披露宴を何度も経験がある中で、2番目に盛大だった!
披露宴の内容も知らされずだったので、当日歌ありダンスあり披露宴会場はお祭り騒ぎの光景に妹とあっけに取られていた。
女性は数回ドレスをかえる(お色直し)という若い人たち顔負け、それ以上だった。
そして最後に娘二人から父と女性に花束贈呈してくれと司会者に突然裏でお願いされ、知らずに準備されていた素晴らしい花束を抱え、贈呈した。
父と女性の披露宴を行うセンスや趣味は私には全くわからないし理解できないことではあったが、二人が幸せそうだったので娘としては嬉しかった。
その女性は私たち子(娘)のことを何かと気にかけてくれていた。
実の娘のような関係性を望んでいるような感じだった。
ドラマを演じるようにあなたは母親、私は娘との配役を急に言い渡され
「はい、今から親子のお芝居スタート!」といった感じと書けば想像できるだろうか。
そして父もそのような態度を取るようにと私たちに迫った。
そもそも父と話しもしない親子関係であったのに、
愛する女性が望むことは全て叶えてあげたい気持ちからか、
今まで作れなかった親子関係をいきなり「今から仲良し家族」でよろしくという思いからか、
上っ面の擬似仲良し親子のような会話や態度を求められ戸惑った。
例えば女性を紹介された際から「(名前)◯◯さん」としていたのに、
父が結婚直後「これから◯◯さんのことはお母さんと呼びなさい」と言われた。
それほど話をしたこともなく、ただご挨拶程度だったのにもかかわらずの50歳代の女性の方に
いきなり「お母さん」と呼んで欲しいのか、そこに意味があるのかと驚いた。
「もっと甘えていろんなことを相談したりすれば可愛がってくれるからそうしなさい」とも言われた。
父は私たち娘のことをまるで中学生の思春期の年齢であるかのような態度のように見えた。
父に、こんな人格もあったのかとあまりの変わりようだった。
もちろん女性に嫌な気持ちは全くなく、逆に好感を持っているくらいだった。
ただもう20歳代で社会人である私はあっさりとした大人同士の関係になるものだと思っていた。
妹は「”お母さん”とよんであげれば二人がハッピーなんだったら、いくらでもよんであげる。
ただの名称と思えばイージーだ。そこに思いなんてものはまだ何も生まれていないのに、それでもただ上っ面だけで満足なのだろうから」
「深く考えたり悩んだりするほどのことじゃない。ただの名称だ」と私に話した。
これを聞いた時、さすが妹だなあと感心したことをよく覚えている。
後になって聞かされたのは、父は既に女性の籍に入り自分の姓を捨て女性の姓となっていたのだ。
だから女性とは義理のお母さんという意味もなかったということなのかな。
にほんブログ村
by akisaku1231
| 2019-04-04 21:49
| 私の生育、環境

