母のしつけ

小学校の頃はよく姉妹で喧嘩をして、どんな理由でも姉の私が叱られた。

まあこれはよくある話で、妹が悪くても（私も悪い）姉が怒られるというパターンだ。

小学校の時に時々気が向くと書いていた日記帳を、高校生くらいの時に机の奥にしまっていたのを忘れていて久々に読んだ時驚いた記憶がある。

母への怒りの言葉ばかりだった。妹に対してではなかった。

語彙力がないので幼稚な言葉の羅列だったが、母への痛烈な単語が並べてあった。

これは見られてはいけないと思い、捨てた。

両親から暴力を受けたことはない。

特に父から叱られたりすることもなかった、そもそも会話自体ないのだが。

母からはお尻を叩かれたりくらいはあるがそれは気にするような記憶ではない。

それよりも母の言葉の激しさが怖かったのを覚えている。

そしてある記憶。

小学６年（妹が３年）の頃だったと思う。

姉妹でいつものようにくだらないことで喧嘩をしていたのだと思う。内容は全く覚えていない。

喧嘩をしているということで母が激高し、夜、母によって素っ裸にさせられ私と妹をこう言って玄関から追い出したのだ。

「玄関の前で、そのまま二人で立っていなさい」

玄関の前には道路があり、そこは国道への抜道になっていたため、トラックや車が頻繁に通り、道路から玄関は丸見えだった。

パンツもなしの裸のまま出され、玄関に鍵をかけられた。

妹と私は二人で道路から自分らの裸が見られないように二人で隙間なくくっついて、できるだけ車から見られないようにしようとした。

だけど、どう考えても遮るものなんてないのだから、丸見えだったはずだ。

どのくらいの時間そうさせられていたのか覚えていない。

どのくらいの車トラックが通ったかも覚えていない。

ただただ長い時間に思えたことだけだ。

そしてとても寒かったのを覚えているので冬だったはずだ。

その時父はどうしていたのか、家に居たのかどうかも全く覚えていない。

恐怖と恥ずかしさの強烈な思いとともに、その時の光景は写真のようにくっきりと思い出せる（記憶力がないのにこういうものは覚えているものだ）。

そういうことをする母だった。

なぜそういうことができるのか、自分が大人になればなるほど、そして自分が親になってから更に理解ができない。

姉妹の喧嘩といってもくだらないことが原因だったし、いつも口喧嘩だけだった。

それが煩わしかったからか。

たまたま母のストレスが溜まっていたからか。

母の性格からか。

それとも全てミックスか。

それでも相応の年齢の娘を裸で、姉妹で、見られるのをわかっていて、こういうことができるものだろうか。

この件について、今まで母に尋ねたことはない。

こわくてできない。

母が怖いのではなく、どういう返事をするのか聞きたくないのだ。

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